『目録学に親しむー漢籍を知る手引き』

数ヶ月前のことですが、宇佐美文理先生・永田知之さんと共著で、研文出版から本を出しました。

京大人文研漢籍セミナー6 目録学に親しむー漢籍を知る手引き
古勝隆一・宇佐美文理・永田知之著
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター編
A5判 134頁 研文出版 2017年3月発行 ISBN978-4-87636-420-6

mokurokugaku中国の古典籍を学ぶために欠かすことのできない目録学。もともと、2016年3月に開催した「東京漢籍セミナー」にて講演したものを書籍化したものです。なるべく多くの方に読んでいただけるよう、三人で工夫して書いてみました。お読みいただければ幸いです。

  • 目録学ー俯瞰の楽しみ(古勝隆一) 目録学の意義╱目録を眺める╱俯瞰の楽しみ
  • 子部の分類について(宇佐美文理) 『漢書』藝文志における「子部書」について╱子部における「雑」の問題
  • 目録学の総決算ー『四庫全書』をめぐって(永田知之) 編纂に向けた動き╱編纂の経緯と反響╱提要の形式╱分類の様相╱編纂を可能にしたものー清朝考証学╱四部分類の終焉╱目録学のゆくえ
  • 附録 漢籍目録の参考文献(古勝隆一)

各都道府県立の図書館には寄贈してあります。また出版社のサイトから購入することもできます。ぜひご一読を!

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『文史通義』研究班

わたくしの職場である京都大学人文科学研究所は、共同研究班というものを開催しており、近畿一円の研究者の方々にご協力をいただきながら、長年にわたってこれまで共同研究を続けて来ております。

数年来、そろそろわたくしも共同研究班を組織して運営したいと考えはじめ、2015年4月から、文史通義研究という研究班を開始しました(2015.04~2018.03の予定)。

概要は以下の通り。

章学誠(1738–1801)『文史通義』は、中国文明における文献と史学の意味を根本からとらえ直す偉大な著作であり、文献実証主義的を越えて、さまざまな方法論に基づく読みが可能な文献である。

本書の遠大なる構想を解明するため、文献学・史学・文学・思想史など、多角的な面から検討を加える会読を行う。本研究班ではこの『文史通義』内篇に詳細な訳注を加え、本書を十全に読解することを目的とする(外篇については、内容の選定が難しいことと、分量的な問題を考慮して、この研究計画では訳注を行わない)。訳注稿は『東方学報』京都に分載する予定である。

『文史通義』の訳注というのが、この研究班の目指すところであり、幸いにして二十名ほどの専門家を集め、順調に訳注を進めているところです。非常に大きなプレッシャーとたたかいながらの試行錯誤ですが、何とか軌道に乗りつつある感触を得ています。

今後は、『東方學報』京都に訳注をコンスタントに分載し、『文史通義』内篇の全訳を目指します。なかなか難しい書物なのですが、それだけにやる気も出てこようというものです。訳注が出版される際には、このブログでも紹介いたします。

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慶北大学校主催シンポジウム「古典の形成と伝承」

慶北大学にて

慶北大学にて

慶北大学校は、大韓民国、大邱広域市にある国立大学です。この11月7日から8日にかけて、慶北大学の人文学術院が、国際シンポジウム「古典の形成と伝承」を主催され、私も日本における『論語』の受容について話をするよう、声をかけていただきましたので、出かけて参りました。

「古典」をテーマとして、8名の研究者がそれぞれの分野に応じ、漢学・インド学・西洋哲学の古典を論じる、という趣向です。11月7日、私は「『論語』と日本ー『論語集解』と『論語義疏』の伝承を中心として」と題する報告を行いました。

嶺南大学校の禹根泰先生に通訳をお願いし、またコメンテーターを啓明大学校の孔炳奭先生に担当していただきました。韓国語を学んだことがないので言葉がわからず、いろいろとご迷惑をおかけしましたが、諸先生のお力添えにより、無事に報告を終えることできました。お世話全般をしてくださった、慶北大学の朴麗玉先生にも、感謝いたしております。朴先生は、近松のご専門で、京都大学にて博士学位を取得なさった日本通です。

エクスカーションとして、かつての新羅の都、慶州を案内していただきました。仏国寺など、非常に落ち着いており、さすがに古都の趣です。韓国の学術界に接し、大邱や慶州の街の様子を目の当たりにできたのは幸せです。

これまで、韓国で研究発表をする機会は多くありませんでしたが、今後とも機会があれば学会に参加したいと思っております。

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国際漢学翻訳家大会に参加しました

11月1日、2日の両日、北京にて第1回「国際漢学翻訳家大会」(北京大学国際漢学家研修基地主催)が開催されました。私にも声をかけてくださいましたので、喜んで参加してきました。

私自身、自分が翻訳家だという意識を明確に持ったことはなかったのですが、確かに二冊ばかり中国書を訳したことはあります。『古書通例』と『目録学発微』とです。「国際漢学翻訳家」の末席に連なる機会を与えていただいたことは、大いなる名誉と受け止めております。

発表につきましては、11月1日(土)、「給日本讀者介紹余嘉錫先生目錄學名著」と題して、『古書通例』と『目録学発微』を翻訳した背景や翻訳により得られた知見などを紹介しました。なおこの文章は、内山直樹氏との共著です。共訳者の一人である内山氏とともに学会に参加できたのは嬉しいことでした。

今回も、多くの旧知・新知の方々にお目にかかることができ、その面においても満足しました。

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『清華の三巨頭』が刊行されました

私が勤務する京都大学人文科学研究所の東アジア人文情報学研究センターでは、毎年三月に東京で漢籍にまつわるセミナーを開催しております。その第8回目は、2013年3月に「清華の三巨頭」と題して開催され、私もお話しいたしました。このたび、その内容が書物になり、発売されました。

清華の三巨頭

清華の三巨頭

京大人文研漢籍セミナー シリーズ
京大人文研漢籍セミナー3 『清華の三巨頭』
井波陵一・古勝隆一・池田巧著
A5判 194頁
2014年9月発行
¥1,944
ISBN978-4-87636-382-7

一 九〇八年、アメリカは義和団賠償金のうち約一二〇〇万ドルを中国側に払い戻し、留美学生の派遣、その予備校としての清華学校の設立(一九一一)など、文化事業の資金にあてて好評を博した。『清華大学史料選編』第一巻所載の「歴史留美学生分科統計表」によれば、中国の青年がアメリカ留学によって最新の知識を学ぼうとした分野は、哲学、文学、社会科学、法学、自然科学、商学、工程学、農業、医学、軍事学、というように、きわめて多岐にわたっている。一九二五年、清華学校は研究院を創立するに当たって、まず国学部門を開設し、著名な教師を招聘して学問の発展、人材の育成に努めることを目指した。「国学研究院」の誕生である。そこに招かれた教職員のうち、教授は王国維、梁啓超、趙元任、陳寅恪の四名であり、彼らが指導する学科の範囲は、「清華周刊」第三五一期に載せるところによれば、以下の通りである。

王国維(経学、小学、上古史、中国文学)
梁啓超(諸子、中国仏学史、宋元明学術史、清代学術史、中国文学)
趙元任(現代方言学、中国音韻学、普通話言学)
陳寅恪(年暦学、周辺諸民族に関係する古代碑志の研究、マニ教経典のウイグル語訳文の研究、仏教経典の各種文字訳本の比較研究、歴史に関係する蒙古 満州書籍及び碑志の研究)

それぞれの講義題目は、王国維が「古史新証」と「説文演習」、梁啓超が「中国通史」、趙元任が「方音学」と「普通語言学」であった(陳寅恪は未定)。二十世紀の中国学の発展に大きく貢献し、今なお高く評価されている四人のうち、王国維、趙元任、陳寅恪の業績を紹介しつつ、その偉大さの本質に迫ってみたい。 (本書「はじめに」より)

  • 王国維―過去に希望の火花をかきたてる 井波陵一
  • 陳寅恪―“教授の教授”その生き方 古勝隆一
  • 趙元任―見えざることばを描き出す 池田 巧

書店・図書館にて、ご覧いただければさいわいです。ご感想をお寄せください。

以上、研文出版のサイトから、紹介文を転載いたしました。そちらもどうぞご一覧ください。

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