東豊書店の閉店に際して

代々木に一軒の書店がありました。台湾出身の簡木桂氏(1929-)が経営する、東豊書店です。その東豊書店が、本年六月末をもって閉店したことは、中国学を治める人々にとって、残念なことですが、ビルの老朽化というやむを得ない事情もあり、私も一人の客として、いつかこの日が来るものと覚悟だけはしていました。

朝日新聞の今村優茉記者が、この書店の閉店を惜しみ、良い記事を書いてくださいました。よろしければ、ぜひご一読ください。

https://withnews.jp/article/f0190718000qq000000000000000W04e10401qq000019400A

私もインタビューに答え、また写真も提供しましたが、東豊書店の恩恵を受けたのは、むろんのこと私ばかりではなく、中国研究に携わるきわめて多くの教師・学徒でありました。いまは、こう言いたいと思います。簡さん、これまでありがとうございました!

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『文史通義』研究班の成果が新しく出ました

長らく新しい記事を書いておりませんが、久しぶりに更新いたします。

以前の記事に書いた通り、わたくしは2015年4月以来、勤務先の京都大学人文科学研究所において、班員の皆様の協力を得つつ、「『文史通義』研究班」という研究プロジェクトを主宰しております。

この班の目標は、『文史通義』内篇五巻に訳注をつけて公刊することです。現在、巻三を読み進めているところです。

訳注の成果は徐々に出つつあり、現在までのところ、次の2本を発表いたしました。

『文史通義』内篇一譯注
『東方學報』第91册、2016年12月、pp.149-236
『文史通義』研究班 古勝隆一・福谷彬・陳佑眞・内山直樹・道坂昭廣・竹元規人・渡邉大・土口史記・廖明飛

『文史通義』内篇二譯注(1)
『東方學報』第92册、2017年12月、pp.253-311
『文字通義』研究班 古勝隆一・岩井茂樹 ・永田知之・白石將人・山口智弘・重田みち・田訪・藤井律之・宇佐美文理

難解なところも多く、それほど簡単には進みませんが、何とか全訳注を完成させたいと思っております。リンク先からダウンロードしていただけますので、ご高覧の上、ご指摘など頂戴できましたら幸いです。

 

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『目録学に親しむー漢籍を知る手引き』

数ヶ月前のことですが、宇佐美文理先生・永田知之さんと共著で、研文出版から本を出しました。

京大人文研漢籍セミナー6 目録学に親しむー漢籍を知る手引き
古勝隆一・宇佐美文理・永田知之著
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター編
A5判 134頁 研文出版 2017年3月発行 ISBN978-4-87636-420-6

mokurokugaku中国の古典籍を学ぶために欠かすことのできない目録学。もともと、2016年3月に開催した「東京漢籍セミナー」にて講演したものを書籍化したものです。なるべく多くの方に読んでいただけるよう、三人で工夫して書いてみました。お読みいただければ幸いです。

  • 目録学ー俯瞰の楽しみ(古勝隆一) 目録学の意義╱目録を眺める╱俯瞰の楽しみ
  • 子部の分類について(宇佐美文理) 『漢書』藝文志における「子部書」について╱子部における「雑」の問題
  • 目録学の総決算ー『四庫全書』をめぐって(永田知之) 編纂に向けた動き╱編纂の経緯と反響╱提要の形式╱分類の様相╱編纂を可能にしたものー清朝考証学╱四部分類の終焉╱目録学のゆくえ
  • 附録 漢籍目録の参考文献(古勝隆一)

各都道府県立の図書館には寄贈してあります。また出版社のサイトから購入することもできます。ぜひご一読を!

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『文史通義』研究班

わたくしの職場である京都大学人文科学研究所は、共同研究班というものを開催しており、近畿一円の研究者の方々にご協力をいただきながら、長年にわたってこれまで共同研究を続けて来ております。

数年来、そろそろわたくしも共同研究班を組織して運営したいと考えはじめ、2015年4月から、文史通義研究という研究班を開始しました(2015.04~2018.03の予定)。

概要は以下の通り。

章学誠(1738–1801)『文史通義』は、中国文明における文献と史学の意味を根本からとらえ直す偉大な著作であり、文献実証主義的を越えて、さまざまな方法論に基づく読みが可能な文献である。

本書の遠大なる構想を解明するため、文献学・史学・文学・思想史など、多角的な面から検討を加える会読を行う。本研究班ではこの『文史通義』内篇に詳細な訳注を加え、本書を十全に読解することを目的とする(外篇については、内容の選定が難しいことと、分量的な問題を考慮して、この研究計画では訳注を行わない)。訳注稿は『東方学報』京都に分載する予定である。

『文史通義』の訳注というのが、この研究班の目指すところであり、幸いにして二十名ほどの専門家を集め、順調に訳注を進めているところです。非常に大きなプレッシャーとたたかいながらの試行錯誤ですが、何とか軌道に乗りつつある感触を得ています。

今後は、『東方學報』京都に訳注をコンスタントに分載し、『文史通義』内篇の全訳を目指します。なかなか難しい書物なのですが、それだけにやる気も出てこようというものです。訳注が出版される際には、このブログでも紹介いたします。

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慶北大学校主催シンポジウム「古典の形成と伝承」

慶北大学にて

慶北大学にて

慶北大学校は、大韓民国、大邱広域市にある国立大学です。この11月7日から8日にかけて、慶北大学の人文学術院が、国際シンポジウム「古典の形成と伝承」を主催され、私も日本における『論語』の受容について話をするよう、声をかけていただきましたので、出かけて参りました。

「古典」をテーマとして、8名の研究者がそれぞれの分野に応じ、漢学・インド学・西洋哲学の古典を論じる、という趣向です。11月7日、私は「『論語』と日本ー『論語集解』と『論語義疏』の伝承を中心として」と題する報告を行いました。

嶺南大学校の禹根泰先生に通訳をお願いし、またコメンテーターを啓明大学校の孔炳奭先生に担当していただきました。韓国語を学んだことがないので言葉がわからず、いろいろとご迷惑をおかけしましたが、諸先生のお力添えにより、無事に報告を終えることできました。お世話全般をしてくださった、慶北大学の朴麗玉先生にも、感謝いたしております。朴先生は、近松のご専門で、京都大学にて博士学位を取得なさった日本通です。

エクスカーションとして、かつての新羅の都、慶州を案内していただきました。仏国寺など、非常に落ち着いており、さすがに古都の趣です。韓国の学術界に接し、大邱や慶州の街の様子を目の当たりにできたのは幸せです。

これまで、韓国で研究発表をする機会は多くありませんでしたが、今後とも機会があれば学会に参加したいと思っております。

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